地方の中小企業において、業務のIT化を進める上で最大の壁となるのが「過去に作られたプログラムのブラックボックス化」です。作った本人が退職し、仕様書も残っていないシステムは、修正するだけでも膨大な時間とリスクが伴います。2026年9月10日、新潟市のシステム開発企業であるオーエムネットワーク株式会社が発表した事例は、この深刻な属人化問題をAIで突破する現実的な手法を示しています。

仕様書のない古いコード、辞めたら nobody 直せない現場

国内で約2万社が運用を続けているIBMの基幹システム「AS/400」。その現場では、長年にわたり改修が重ねられたプログラムの仕様書が存在しない、あるいは最新化されていないという重い課題を抱えています。開発を担当してきたベテランエンジニアは平均年齢が50歳を超え、退職や異動によって「その人にしかコードが読めない」という状態が固定化していました。

この問題が放置されてきた理由は明確です。古い独自の言語(RPGなど)を習得するには時間がかかり、若手への技術継承にはベテランによるマンツーマンの指導体制が不可欠だったからです。専用システムの全面刷新には数千万円単位の費用と数年の期間を要するため、人手も予算もない中小の現場では「触らぬ神に祟りなし」として、綱渡りの運用を続けざるを得ませんでした。

30〜40% 作業工数の削減率 人間の確認・検証作業を含めた実効値
約20本 改修した帳票プログラム 2026年7〜8月の実務運用期間
0件 リリース時の本番トラブル RPG経験の浅い若手エンジニアが完遂

Claude Codeを「書く」ではなく「読む」に使った選択

この悪循環を断ったのがオーエムネットワークの取り組みです。同社は2026年7月から8月にかけ、AS/400上で稼働する帳票定義ファイルおよび発行制御プログラム計20本程度の改修作業において、米Anthropic社のAI開発ツール「Claude Code」を実務に投入しました。

特筆すべきは、AIにプログラムのコードを「作らせる」のではなく、「仕様書のないコードを読み解く下ごしらえ」に限定して使った点です。担当したRPG開発経験の浅い若手エンジニアは、AIに対してコードの構造分析や処理ロジックの可視化を依頼。対話形式で仕様を紐解くアシスタントとして活用しました。

ベテランが隣について一から解説する代わりに、若手自身がAIと対話しながら「このプログラムがどのファイルを参照し、どんな条件で処理を行っているか」を短時間で把握。実際の修正作業や最終確認は人間が責任を持って行うことで、属人化した技術継承の壁をクリアしたのです。

RPG開発経験の浅い若手エンジニアが「Claude Code」を構造解読・対話アシスタントとして活用し、2026年7月から8にかけて20本程度の帳票発行系プログラム改修をトラブルゼロで完遂した
オーエムネットワーク株式会社 プレスリリース(2026年9月10日発表)

30〜40%削減とトラブルゼロ、下方修正に見る現実解

同社は2026年3月の事前検証段階において「新規作成工数を数日から約4時間に短縮」という数値を掲げていました。しかし、今回の本番運用を経て発表された数値は「人間の確認を含めて30%〜40%の削減」という結果です。

一見すると短縮幅が小さくなったように見えますが、この修正こそが実務における信頼性の証です。AIにコード生成を丸投げすると、一箇所のエラー検証に膨大な時間を取られ、本番障害の原因になります。同社は「人間による二重チェックと試行錯誤の時間」を工程にしっかり組み込むことで、リリース後の本番トラブル0件という成果を導き出しました。

この事例が成功した勘所は、「AIの間違いを人間がリカバリーできる安全な工程=古い資産の解読」に用途を絞った点にあります。ただし、この手法が効かない条件もあります。AIが出した解読結果を人間が確認せずそのまま信じ込んで本番環境に反映してしまうような現場では、かえって大きな事故につながるため注意が必要です。

属人化したコードをAIで解読する4手順

  1. 1. 解読不能になっている資産を1つ特定する退職した社員が作成した古いExcelマクロや、仕様書のないプログラムを1点だけ選出します。
  2. 2. AIに「コードの解説」だけを依頼するコード全体をAIに貼り付け、「処理の手順と、条件分岐のポイントを日本語で箇条書きにして」と指示します。新規作成はさせません。
  3. 3. 過去のデータと照合して人間が検証するAIがまとめた構造の要約と、実際の入力データ・出力結果を突き合わせ、理解に誤りがないか人間が確認します。
  4. 4. 1週間試して解読スピードが変わらなければ撤退するコードの特殊性によりAIの解説精度が低く、人間の手で読んだ方が早い場合は、無理に固執せず別の定型作業の効率化へ切り替えます。

出典 / SOURCES

※本記事は公開情報をもとに AI が自動で編集・要約し、出典を明記しています。正確性は各出典をご確認ください。

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